SoftBank Airを検討する際、特にスマートフォンの料金プランに慣れている方ほど、「データ通信量はどれくらい使えるのだろう?」「例えば10GBだと、何ができるんだろう?」といった疑問を抱くことがあるかもしれません。月々のデータ容量を気にしながらスマートフォンを使っていると、その感覚で家庭のインターネット回線も捉えてしまいがちです。

しかし、まず最も重要な結論からお伝えします。SoftBank Airには、スマートフォンのような「月々10GBまで」といったデータ通信量の上限(キャップ)は存在しません。SoftBank Airは、原則としてデータ通信量が無制限で利用できるサービスです。

この記事では、その大前提を踏まえた上で、あえて「もし、インターネットが10GBまでしか使えなかったら?」という思考実験を行います。10GBというデータ量が、現代のインターネット利用において一体どれほどの価値を持つのかを徹底的に可視化することで、SoftBank Airが提供する「データ容量無制限」という環境がいかに豊かで、必要不可欠なものであるかを明らかにしていきます。

第1章:大前提 ― SoftBank Airは「データ容量無制限」のサービス

SoftBank Airの料金プランは「Air 4G/5G共通プラン」の一つだけであり、ここにはデータ容量の上限は設けられていません。毎月どれだけインターネットを利用しても、データ容量を使い切って速度が極端に遅くなる(いわゆる「ギガ死」)といったことは起こりませんし、追加でデータ容量を購入する必要もありません。これが、家庭用のインターネット回線であるSoftBank Airと、モバイル用のスマートフォン向けプランとの最も大きな違いです。

注意点:「速度制限」と「容量制限」は違う

ただし、「容量無制限」は「速度無制限」を意味するわけではありません。SoftBank Airの利用規約には、ネットワークが混雑する時間帯(主に夜間)に、特定のユーザーが非常に大容量の通信(動画の連続視聴や大容量ファイルの送受信など)を行うことで、他のユーザーの通信に影響を及ぼす可能性がある場合、そのユーザーの通信速度を一時的に制限する場合がある、と記載されています。これはあくまで回線全体の品質を保つための措置であり、月間のデータ使用量に基づく一律の容量制限とは全く異なるものであることを理解しておきましょう。

第2章:【徹底可視化】もし「10GB」だったら、何がどれくらいできるのか?

それでは、本題である「10GB」というデータ量が、具体的にどの程度の活動量に相当するのかを、皆さんが日常的に使うであろうサービスを例に、徹底的に検証していきます。

ケース1:動画ストリーミングサービス(YouTube / Netflix)

最もデータ消費が激しいのが動画の視聴です。画質によって消費量は大きく変わります。

サービス・画質 1時間あたりのデータ消費量(目安) 10GBで視聴できる時間(目安)
YouTube (480p / 標準画質) 約0.56GB 約17.8時間
YouTube (720p / HD高画質) 約1.24GB 約8時間
YouTube (1080p / フルHD) 約2.22GB 約4.5時間
Netflix (HD高画質) 約3GB 約3.3時間
Netflix (4K) 約7GB 約1.4時間

この表から分かる通り、標準画質の動画であればある程度楽しめますが、高画質(HD以上)になると、10GBはあっという間に底をつきます。毎日1〜2時間、高画質で映画やドラマを楽しみたい、というライフスタイルは、10GBでは到底不可能です。

ケース2:オンラインゲーム

オンラインゲームは、「プレイ中」のデータ消費量と、「ダウンロード・アップデート」のデータ消費量を分けて考える必要があります。

・プレイ中のデータ消費
意外かもしれませんが、ゲームのプレイ自体が消費するデータ量は、1時間あたり約40MB〜100MB程度と比較的小さいことが多いです。10GBあれば、計算上は100時間以上プレイできます。

・ダウンロードとアップデートのデータ消費
オンラインゲームにおける真のデータ消費は、こちらです。人気ゲームのタイトルを一本ダウンロードするだけで、50GBや100GBを超えることは当たり前です。また、定期的に配信される数GB〜数十GBのアップデートも適用しなければ、ゲームをプレイすることすらできません。10GBという容量では、現代の主要なゲームを一つダウンロードすることすら不可能であり、アップデートに対応することも困難です。

ケース3:ビデオ会議(Zoom / Teams)

在宅ワークやオンライン授業で必須となったビデオ会議も、映像のやり取りで大きなデータを消費します。
1対1のビデオ通話(HD画質):1時間あたり約1.08GB
グループでのビデオ会議(HD画質):1時間あたり約2.5GB

10GBでは、グループ会議ならわずか4時間で上限に達してしまいます。毎日1時間の定例会議があるだけで、1週間も持ちません。

その他の主な用途のデータ消費量目安

・音楽ストリーミング:1時間あたり約60MB(標準音質)→ 10GBで約166時間
・Webサイト閲覧:1時間あたり約180MB → 10GBで約55時間
・LINE通話(音声のみ):1時間あたり約18MB → 10GBで約555時間

音楽やLINE通話、テキスト中心のWebサイト閲覧だけであれば、10GBでもかなりの時間利用できます。しかし、現代のインターネット利用は、動画や高画質な画像が中心であり、これらの用途を少しでも含めると10GBでは全く足りないことが分かります。

第3章:「1ヶ月10GB」で生活できるのは、どんな人か?

上記の検証から、1ヶ月10GBというデータ容量でインターネットを不自由なく利用できるのは、極めて限定的なユーザー像となります。

例えば、「インターネットの用途は、スマートフォンでのメールチェックと、たまにニュースサイトを見る程度。動画は一切見ないし、ゲームもしない。PCも持っていない」というような、非常にライトな使い方をする方であれば、10GBでも足りるかもしれません。

しかし、総務省の調査によると、日本の一般家庭における月間のデータ通信量は、年々増加し、数百GBに達することも珍しくありません。家族が複数人いれば、合計で1TB(1000GB)を超えることもあります。この現実を前にすると、10GBというデータ容量は、家庭用のインターネット回線としては、もはや現実的な選択肢ではないことが明確です。

第4章:なぜホームルーターはデータ無制限なのか?

SoftBank Airや、競合のdocomo home 5Gといったホームルーターが、なぜスマートフォンのようにデータ容量の上限を設けていないのでしょうか。それは、製品が設計された「目的」と「利用シーン」が根本的に異なるからです。

・スマートフォンの役割:外出先での利用が主。限られた基地局の電波を多くの人が分け合って使うため、一人あたりのデータ使用量に上限を設けざるを得ない。
・ホームルーターの役割:家庭内での利用が主。家族全員が、PC、タブレット、テレビ、ゲーム機など、複数のデバイスで、時間や容量を気にすることなく、固定回線(光回線)の代替として利用することが想定されている。

もしホームルーターに10GBや20GBといった上限があったなら、誰も光回線の代わりに選ぶことはないでしょう。「データ容量無制限」は、ホームルーターが家庭のメイン回線として存在する上での、絶対的な必須条件なのです。

まとめ:「10GBの心配が不要」なことこそが、SoftBank Airの価値

今回の検証を通じて、「10GB」というデータ通信量が、現代のインターネットライフにおいていかに僅かなものであるか、そして、SoftBank Airが提供する「データ容量無制限」という環境がいかに価値のあるものか、お分かりいただけたかと思います。

SoftBank Airを選ぶということは、月々のデータ残量を気にしながら恐る恐る動画を見るような生活から解放され、家族の誰もが、いつでも好きなだけ、インターネットの恩恵を享受できる自由を手に入れるということです。あなたがこれからSoftBank Airを使い始めるのであれば、もはや「10GBで何ができるか」を心配する必要は一切ありません。