SoftBank Airの魅力は、なんといっても5Gによる高速通信。しかし、日本の5Gエリアはまだ限定的であり、「自分の家は残念ながら4Gエリアだった…」という方は少なくありません。そんな時、「4GエリアでSoftBank Airを契約する価値はあるのだろうか?」「昔の遅いイメージのままで、使い物にならないのでは?」といった大きな不安が頭をよぎるのではないでしょうか。
この記事は、まさにそんな「5Gエリア外」にお住まいのあなたのための、SoftBank Air「4Gサービス」専門ガイドです。5Gという最新技術の影に隠れがちな、SoftBank Airの基盤である4Gネットワークの真の実力と、そのエリアの広さ、そして現代のインターネット利用にどの程度耐えうるのかを、あらゆる角度から徹底的に検証・解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたは4G環境下におけるSoftBank Airの価値を正しく見極め、ご自身の状況にとって最適なインターネット回線を選択するための、確かな知識と判断基準を手にすることができるでしょう。
第1章:SoftBank Airの基盤 ― 4Gネットワークの技術的深掘り
SoftBank Airの4G通信は、単一の技術で成り立っているわけではありません。複数の異なる特性を持つ電波を巧みに組み合わせることで、全国規模での安定したサービスを実現しています。
SoftBank Airが利用する3種類の4G電波
・AXGP (TDD-LTE):SoftBank Airの根幹をなす、データ通信に特化した電波です。もともとウィルコムの次世代規格として開発された経緯を持ち、高トラフィックな環境でも安定した通信を実現しやすいという特徴があります。主に都市部で高密度に整備されています。
・FDD-LTE:ソフトバンクのスマートフォンで最も広く使われている、一般的な4G LTEの電波です。特に、障害物に強く、より広範囲をカバーできる「プラチナバンド(900MHz帯)」は、地方や山間部での接続性を支える重要な役割を担っています。
・TDD-LTE:AXGPと互換性のある電波で、AXGPを補完する形で利用されます。
速度向上の鍵「キャリアアグリゲーション」とは?
SoftBank Airが4G環境でも比較的高速な通信を実現できる秘密が、「キャリアアグリゲーション(CA)」という技術です。これは、上記のAXGPやFDD-LTEといった複数の異なる周波数帯の電波を、同時に束ねて通信することで、通信速度を向上させる技術です。例えば、道路の車線を2本、3本と束ねて、一度に多くの車が通れるようにするイメージです。Airターミナル4/4 NEXTといった4G時代の最終モデルは、このCA技術を最大限に活用することで、最大612Mbpsという理論値を実現していました。
第2章:4Gエリアの広さと、その確認方法
SoftBank Airの4Gサービスエリアは、ソフトバンクのスマートフォンが繋がるエリアとほぼ同等であり、人口カバー率99%以上を誇る、非常に広範なネットワークです。5Gがまだ都市部中心であるのに対し、4Gは地方や郊外、山間部に至るまで、日本の隅々をカバーしています。
ご自身の家が4Gエリアに含まれているかは、ソフトバンク公式サイトの「SoftBank Air エリア確認」ページで確認できます。5Gエリア外であっても、この4Gエリアにさえ含まれていれば、SoftBank Airを契約し、利用することが可能です。
第3章:【性能検証】4G環境下でのリアルな実測値と快適度
では、4GエリアでSoftBank Airを使った場合、実際の通信速度(実測値)はどの程度なのでしょうか。また、その速度でどのようなことが快適にできるのでしょうか。
4G環境での平均実測値
様々なユーザーの速度報告を集計しているサイト「みんなのネット回線速度」のデータを参考にすると、Airターミナル4/4 NEXTといった4G端末を利用しているユーザーの平均実測値は、概ね以下のようになっています。
・平均下り速度:30Mbps 〜 60Mbps
・平均上り速度:5Mbps 〜 10Mbps
・平均Ping値:50ms 〜 70ms
もちろん、これはあくまで平均値であり、基地局との距離や電波環境によって大きく変動します。コンディションが良ければ100Mbps近く出ることもあれば、悪ければ10Mbpsを下回ることもあります。
実測値別・利用シーン別 快適度診断
| 利用シーン | 必要な速度(目安) | 4G環境(平均30〜60Mbps)での快適度 |
|---|---|---|
| Webサイト閲覧・SNS | 1〜10Mbps | ◎ 快適 |
| YouTube (HD 1080p) | 5Mbps | ◎ 快適 |
| Netflix (4K) | 15〜25Mbps | ○ 概ね快適(時間帯により読み込みが入る可能性あり) |
| オンライン会議 (Zoom) | 2〜4Mbps | ◎ 快適 |
| オンラインゲーム (FPSなど) | Ping値 30ms以下 | △〜✕ 不向き(Ping値が高く、ラグが発生しやすい) |
| 大容量ゲームのダウンロード | 高ければ高いほど良い | △ 時間がかかる(100GBで約6時間〜) |
| 家族3〜4人での同時利用 | 50Mbps以上 | △ 厳しい可能性あり(誰かが動画を見ると他が遅くなる) |
この診断から分かる通り、SoftBank Airの4Gサービスは、一人〜二人暮らしで、Web閲覧や動画視聴をメインに楽しむ、といった使い方であれば、十分に快適なレベルと言えます。しかし、リアルタイム性が求められるオンラインゲームや、家族複数人での同時利用といった、回線に高い負荷がかかるシーンでは、力不足を感じる可能性が高いです。
第4章:【戦略的判断】5Gエリア外で、それでもSoftBank Airを選ぶべきか?
あなたが5Gエリア外に住んでいるという事実を踏まえ、それでもSoftBank Airを契約すべきか否かを判断するための、最終的な意思決定ガイドです。
ケース1:SoftBank Airを選ぶべき人
・他に有力なインターネット回線がない人
地方や山間部など、光回線が未提供で、他社ホームルーターもエリア外、という地域にお住まいの場合、SoftBank Airの広範な4Gネットワークは、最も現実的で、かつ最も高速な選択肢となり得ます。
・「おうち割 光セット」の割引額が非常に大きい人
家族4〜5人以上がソフトバンク・ワイモバイルユーザーである場合、毎月のスマホ代割引額(例:4,400円〜5,500円)が、SoftBank Airの月額料金(5,368円)に匹敵、あるいは上回ることがあります。この場合、インターネット回線は「実質無料か、それ以下で持てる」計算になるため、速度が多少遅くても、家計全体で見れば契約する価値は非常に高いと言えます。
ケース2:他のサービスを検討すべき人
・自宅で光回線が契約できる人
もし、あなたの家が光回線の提供エリアであるならば、速度と安定性を最優先するなら、迷わず光回線を選ぶべきです。月額料金も、マンションタイプであればSoftBank Airと同等か、それ以下で利用できる場合も多くあります。
・競合のホームルーター(docomo home 5Gなど)が「5Gエリア内」である人
SoftBank Airは4Gエリアでも、ドコモのhome 5Gなら5Gエリア内、というケースは十分に考えられます。同じ工事不要ホームルーターであれば、5Gが使える方が圧倒的に快適です。必ず競合サービスのエリアも確認しましょう。
・オンラインゲームやライブ配信が主な目的の人
4G環境下のSoftBank Airでは、Ping値や上り速度の観点から、これらの用途を快適に行うのは困難です。この場合は、光回線が唯一の現実的な選択肢となります。
まとめ:4GエリアでのSoftBank Airは「目的」と「代替案」で価値が決まる
SoftBank Airの4Gサービスは、決して「使えない」サービスではありません。Web閲覧や動画視聴といった一般的な用途を、一人〜二人で利用するには十分な性能を持っています。しかし、それはあくまで「他に、より優れた選択肢がないか」という比較の上で成り立つ価値です。
ご自身のインターネットの利用目的を明確にし、おうち割による経済的なメリットを計算し、そして必ず光回線や他社ホームルーターといった代替案のエリア確認を行うこと。このステップを踏むことで、5Gエリア外という条件下でも、あなたは自信を持って最適なインターネット回線を選択できるはずです。