SoftBank Airの通信速度や安定性は、利用するエリアや時間帯だけでなく、どの「Airターミナル」を使うかによって大きく左右されることをご存知でしょうか。現在、SoftBank Airの契約で中心的な役割を担っているのが、5G通信に対応した「Airターミナル5」です。

この記事では、SoftBank Airの心臓部とも言える「Airターミナル5」に完全に焦点を当て、その技術的なスペックから、旧機種と比較してどれほど性能が向上したのか、そして料金体系や設定方法に至るまで、あらゆる角度から徹底的に解剖していきます。

「最新の端末は本当に速いの?」「古い端末と何が違うの?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。SoftBank Airの体験を最大限に引き出すための知識がここにあります。

Airターミナル5とは?SoftBank Airを次世代へ導く中核機器

Airターミナル5は、2021年10月に登場したSoftBank Air専用のホームルーターです。それまでのモデルとの最大の違いは、次世代通信規格である「5G」に初めて対応した点にあります。これにより、従来の4G回線エリアに加えて、高速・大容量通信が可能な5G回線エリアでもSoftBank Airが利用できるようになり、理論上の最大通信速度は劇的に向上しました。

さらに、家庭内のWi-Fi環境を向上させる「Wi-Fi 6」にも対応しており、通信速度だけでなく、複数デバイスを同時に接続した際の安定性も大きく進化しています。まさに、SoftBank Airの性能を決定づける、最も重要な要素がこのAirターミナル5なのです。

【技術仕様】Airターミナル5のスペックを徹底解剖

ここでは、Airターミナル5のカタログスペックを、それぞれの項目が実際の利用にどう影響するのかを解説しながら、詳しく見ていきましょう。

通信速度:5G対応で下り最大2.1Gbpsを実現

Airターミナル5の最大の特長は、5G回線接続時の通信速度です。下り(ダウンロード)の最大通信速度は2.1Gbpsに達します。これはあくまで技術規格上の理論値であり、常にこの速度が出るわけではありませんが、従来の4G回線のみに頼っていた旧機種とは比較にならないポテンシャルを秘めています。

5Gエリア外でも、4G回線で下り最大838Mbpsに対応しており、旧機種よりも高速な通信が期待できます。

Wi-Fi規格:安定性と速度を向上させる「Wi-Fi 6 (802.11ax)」

Airターミナル5は、家庭内のWi-Fi規格として「Wi-Fi 6」に対応しています。これにより、たとえインターネット回線側の速度が同じでも、スマートフォンやパソコンといったデバイスとの通信効率が大幅に向上します。

Wi-Fi 6の主なメリット
OFDMA技術:通信の順番待ちによる遅延を大幅に削減し、複数のデバイスが同時に通信しても速度が落ちにくくなります。
MU-MIMO:複数のデバイスと同時にデータを送受信できるため、家族みんなで使っても安定します。
省エネ性能:接続するスマートフォンやIoT機器のバッテリー消費を抑える効果も期待できます。

Wi-Fi 6の恩恵を最大限に受けるには、接続するスマートフォンやパソコン側もWi-Fi 6に対応している必要がありますが、対応機器は年々増えています。

接続台数と有線LANポート

Wi-Fiの最大接続台数は128台と非常に多く、一般的な家庭で利用するには十分すぎる性能です。スマートフォンやパソコンだけでなく、スマートスピーカー、IoT家電、ゲーム機などを多数接続しても安定した通信を維持できます。

また、本体背面にはギガビット対応の有線LANポートが2つ搭載されています。オンラインゲームやデスクトップパソコンなど、より安定した接続を求める機器を有線で接続することが可能です。

性能差は歴然!Airターミナル5と旧機種(Airターミナル4)の比較

Airターミナル5が、旧機種である「Airターミナル4 NEXT」からどれほど進化したのか、主要なスペックを比較表で見てみましょう。

スペック項目 Airターミナル5 Airターミナル4 NEXT
5G回線対応 対応 非対応
下り最大速度 2.1Gbps (5G) 612Mbps (4G)
Wi-Fi規格 Wi-Fi 6 (ax) Wi-Fi 5 (ac)
最大接続台数 128台 128台
有線LANポート 2ポート (1Gbps) 2ポート (1Gbps)
※速度は全て技術規格上の最大値です。

この表から分かる通り、性能の根幹をなす「5G対応」「最大通信速度」「Wi-Fi規格」の3点において、Airターミナル5は旧機種を圧倒しています。特に5Gエリアで利用する場合、その差は体感できるレベルで大きいと言えるでしょう。これからSoftBank Airを契約するのであれば、Airターミナル5以降の機種を選択することが、快適なインターネット環境を手に入れるための必須条件となります。

Airターミナル5の料金と「実質0円」の仕組み

Airターミナル5の本体価格は71,280円(税込)と、決して安価なものではありません。しかし、SoftBank Airの料金プランには、この高額な端末代の負担をなくすための仕組みが用意されています。

「月月割」による端末代金の実質無料化

端末を36回払いで購入した場合、月々の支払いは1,980円となります。それに対し、毎月の利用料金から同額の1,980円が「月月割」として36ヶ月間割り引かれます。これにより、36ヶ月間利用を継続すれば、端末代金の総額と割引額の総額が同額になり、端末代の負担が実質的になくなるという仕組みです。

ただし、これはあくまで36ヶ月間使い続けることが前提です。もし途中で解約した場合は、その時点で月月割が終了し、残っている端末代の残債を一括で支払う必要が出てくるため、注意が必要です。

実践ガイド:Airターミナル5の初期設定と活用法

誰でも簡単!初期設定のステップ

Airターミナル5の設定は非常にシンプルです。
1. 箱から取り出す:本体とACアダプタを取り出します。SIMカードは通常、出荷時に挿入済みです。
2. 最適な場所に置く:電波を受信しやすい窓際で、床から少し高さのある場所に設置します。
3. コンセントに挿す:ACアダプタを接続し、電源を入れます。
4. ランプが緑になるまで待つ:起動には数分かかります。本体正面の5つのランプが全て緑色に点灯すれば準備完了です。
5. Wi-Fiに接続する:本体の底面に記載されているSSID(ネットワーク名)と暗号キー(パスワード)を使って、スマートフォンやパソコンをWi-Fiに接続します。

性能を最大限に引き出すための活用法

Airターミナル5の性能を最大限に引き出すには、いくつかのコツがあります。

・5GHz帯のWi-Fiを優先的に利用する
Wi-Fiに接続する際、SSIDの末尾に「-5G」と付いている方が5GHz帯の電波です。こちらは電波干渉が少なく高速なため、Airターミナルの近くで利用する機器はこちらに接続することをお勧めします。

・重要な機器は有線LANで接続する
オンライン会議で使うパソコンや、対戦型のオンラインゲームをプレイするゲーム機など、絶対に通信を安定させたい機器は、有線LANポートで接続するのが最も確実です。

・家が広い場合はメッシュWi-Fiを組み合わせる
3階建ての戸建てや、壁の多いマンションなどでWi-Fiが届きにくい部屋がある場合は、Airターミナル5を親機として、市販の「メッシュWi-Fi」システムを導入するのが効果的です。これにより、家全体を強力で安定したWi-Fiエリアにすることができます。おすすめの製品としては「TP-Link Deco」シリーズなどがあります。

まとめ:SoftBank Airの体験価値はAirターミナル5で決まる

SoftBank Airというサービス自体の評判は、その手軽さゆえに通信品質の面で賛否両論あります。しかし、もしSoftBank Airを利用するという選択をするのであれば、その体験の質が「Airターミナル5」というハードウェアの性能に大きく依存していることは間違いありません。

旧機種とは一線を画す5G通信への対応と、家庭内の通信環境を快適にするWi-Fi 6の搭載は、SoftBank Airを過去のイメージから大きく進化させました。これから契約する方、あるいは旧機種からの買い替えを検討している方は、このAirターミナル5のスペックと価値を正しく理解し、後悔のない選択をしてください。