SoftBank Airを長年利用している方の中には、「自分は2年契約だから、2年ごとに解約のチャンスがあるはず」と考えている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、その認識には、もしかすると数万円の損失に繋がりかねない、大きな落とし穴が潜んでいる可能性があります。

特に、2022年6月30日以前にSoftBank Airを契約したあなたは、現在では新規受付が終了した「2年自動更新プラン」の対象者である可能性が非常に高いです。このプランは、その仕組みを正確に理解していないと、解約のタイミングを逃し続けたり、予期せぬ高額請求に直面したりするリスクを孕んでいます。

この記事では、この旧「2年契約プラン」にのみ完全に焦点を当て、その複雑な仕組み、ご自身の「更新月」を正確に確認する方法、そして多くのユーザーを悩ませる「二重縛り」問題の正体と、そこから最も賢く脱出するための出口戦略まで、あらゆる情報を網羅的かつ深く、徹底的に解説していきます。

第1章:SoftBank Air「2年契約プラン」の基本構造

まず、あなたが契約している可能性のある「2年自動更新プラン」が、どのようなルールで成り立っているのかを正確に理解しましょう。

「2年自動更新プラン」とは?(2022年6月30日以前の契約)

これは、契約期間を24ヶ月間(2年間)とし、その契約期間中に解約した場合に、契約解除料(違約金)が発生するというプランです。そして、最も重要な特徴は「自動更新」であるという点。契約満了のタイミングで解約を申し出なければ、自動的にさらに2年間の契約が結ばれてしまうのです。

契約解除料(違約金)の金額

このプランに紐づく契約解除料は、多くの場合10,450円(税込)です。この金額を支払わずに解約するためには、後述する「契約更新月」の期間中に手続きを完了させる必要があります。

現在の契約プランとの違い

2022年7月1日に施行された改正電気通信事業法の影響で、これ以降の契約では上記のような高額な契約解除料は設定できなくなりました。現在のSoftBank Airの契約は、契約期間の縛りがないか、あっても解除料は月額料金1ヶ月分が上限となっています。つまり、「2年契約」は、法改正以前から契約を継続している、一部の長期利用者だけに関係する「レガシー(旧式)プラン」なのです。

第2章:「更新月」の正しい知識と、My SoftBankでの正確な確認方法

契約解除料を0円にする唯一のチャンスが「契約更新月」です。この期間を正確に把握することが、旧プラン攻略の最重要課題となります。

「更新月」の定義とは?

SoftBank Airにおける契約更新月(解約しても契約解除料がかからない期間)は、契約満了月を1ヶ月目として、3ヶ月間(契約満了月、翌月、翌々月)と定められています。

例えば、課金開始日が「2021年4月」だった場合、最初の契約期間は2021年4月〜2023年3月までの24ヶ月間です。この場合、契約満了月は「2023年3月」となり、契約更新期間は**「2023年3月、4月、5月」**の3ヶ月間となります。この期間を逃すと、次のチャンスは2年後の「2025年3月、4月、5月」まで待たなければなりません。

My SoftBankでご自身の更新月を確認する全手順

自身の正確な更新月を把握するには、My SoftBankで確認するのが最も確実です。

1. My SoftBankにS-IDとパスワードでログインします。
2. メニューの中から「契約・オプション管理」を選択します。
3. 契約情報が表示されるページで、「ご契約プラン」や「契約期間」といった項目を探します。
4. そこに「契約更新月:〇〇年〇月~〇〇年〇月」といった形で、あなたの解約無料期間が明確に記載されています。必ずこの情報をスクリーンショットやメモで保存しておきましょう。

第3章:【最重要】旧プラン利用者を縛る「二重縛り」問題の正体

「更新月に解約すれば、無料で辞められるんだな」――そう安心するのは、まだ早いかもしれません。ここに、旧プラン利用者の多くが陥る、最も厄介な罠「二重縛り」問題が存在します。

「契約期間(2年)」と「端末代分割(3年)」の”ズレ”

問題の根源は、あなたが契約した際のルールが、以下の2つの異なる期間で構成されていることにあります。
・契約期間の縛り:2年間(24ヶ月)
・Airターミナルの分割払い期間:3年間(36ヶ月)

この期間の”ズレ”が、最悪の事態を引き起こします。具体的に見ていきましょう。

シミュレーション:2年後の最初の「更新月」に何が起こるか

利用開始から24ヶ月が経過し、待望の最初の「更新月」がやってきました。あなたは「これで無料で解約できる!」と考え、手続きを進めます。契約解除料(10,450円)は、確かに0円になります。

しかし、端末代金の支払いは36回払いです。24ヶ月が経過した時点では、まだ12ヶ月分(約2万円以上)の端末代金の残債が残っています。解約すると、この残債が一括で請求されることになるのです。これが「二重縛り」の正体です。

シミュレーション:3年後の「端末代完済時」に何が起こるか

では、端末代の残債がなくなる36ヶ月目まで待てば良いのでしょうか。36ヶ月が経過すれば、端末代の支払いは終わり、残債は0円になります。しかし、その時、あなたは2年契約の「2回目のサイクル(25ヶ月目〜48ヶ月目)」の真っ只中にいます。つまり、**更新月ではないため、今度は10,450円の契約解除料が発生してしまう**のです。

第4章:「二重縛り」から最も賢く脱出するための出口戦略

この厄介な二重縛りから、最も経済的に、そして賢く抜け出すための戦略を3つ提案します。

戦略1:【完全無償プラン】4年後の更新月まで待つ

最もシンプルで、追加費用が一切かからないのがこの方法です。端末代金の支払いが終わる36ヶ月目を過ぎ、さらに次の更新月(契約開始から49ヶ月目、50ヶ月目、51ヶ月目)まで利用を継続します。このタイミングであれば、「契約解除料」も「端末代残債」も、両方とも0円の状態で解約できます。

戦略2:【コスト最小化プラン】3年経過後、契約解除料を支払って解約する

「4年も待てない」という方におすすめなのがこの方法です。端末代金の支払いが完了する36ヶ月目まで利用し、残債を0円にします。そして、翌37ヶ月目に、契約解除料の10,450円を支払って解約します。最初の更新月で2万円以上の残債を支払うより、こちらのプランの方が支払う総額は少なく済みます。

戦略3:【乗り換え前提プラン】他社の「乗り換えキャンペーン」を活用する

「今すぐ解約したい!」という場合は、他社の「乗り換えキャンペーン」を利用するのが最も賢明です。光回線や他のホームルーターサービスに乗り換えることを条件に、SoftBank Airの解約時に発生した費用(契約解除料や端末代残債)を、後から最大10万円まで補填してくれるキャンペーンです。これにより、実質的な自己負担を0円にして、好きなタイミングで解約することが可能になります。

まとめ:「2年契約」を正しく理解し、最適な出口を見つける

SoftBank Airの旧「2年契約プラン」は、現代の契約形態と比べて複雑で、ユーザーにとって不利な側面があることは否めません。しかし、その仕組み、特に「二重縛り」の構造を正しく理解しさえすれば、パニックに陥る必要はありません。

まずはMy SoftBankでご自身の「更新月」と「端末代残債」という2つの重要情報を正確に把握してください。そして、この記事で示した出口戦略の中から、ご自身のライフプランや経済状況に最も合ったプランを選択すること。それが、過去の契約から最も賢く、そして円満に卒業するための唯一の方法です。