SoftBank Airのポテンシャルを最大限に引き出し、安定した高速通信を実現する鍵、それが「有線LAN接続」です。しかし、いざLANケーブルを使ってPCやゲーム機を接続しようとしたとき、「箱に入っていたケーブルでいいのかな?」「もっと良いケーブルがあるなら知りたい」「長さや形も色々あるけど、どれを選べばいいの?」といった、具体的な”ケーブル選び”の疑問にぶつかる方は少なくありません。
LANケーブルは、単なる付属品ではありません。インターネットの速度と安定性を左右する、非常に重要なネットワーク機器の一部なのです。適切なケーブルを選び、正しく使うことで、あなたのSoftBank Air体験はさらに快適なものへと進化します。
この記事では、SoftBank Airユーザーのためだけに書かれた、LANケーブル選びの完全実践マニュアルです。まず、箱に同梱されているケーブルの実力を評価し、その上で、あなたの利用環境や目的に合わせて、最高のパフォーマンスを引き出すための最適なLANケーブルを選ぶための、あらゆる知識と具体的な選択基準を、分かりやすく解説していきます。
第1章:【基本の確認】SoftBank Airに付属するLANケーブルの実力
SoftBank Airを新規契約すると、箱の中に1本のLANケーブルが同梱されています。まずは、この「標準装備」のケーブルがどのようなものなのかを知りましょう。
付属ケーブルの一般的な仕様(目安)
・カテゴリ:多くの場合、「カテゴリ5e (CAT5e)」
・形状:スタンダードな「丸型(ラウンドタイプ)」
・長さ:1.5m〜2m程度
※注意:契約時期やAirターミナルの世代によって、付属するケーブルの仕様は異なる場合があります。
「カテゴリ5e」の実力は? SoftBank Airで使うには十分か?
カテゴリ5eは、最大1Gbps(ギガビット)の通信速度に対応する規格です。SoftBank AirのAirターミナルに搭載されている有線LANポートも最大1Gbps対応ですので、理論上は、付属のカテゴリ5eケーブルでも、Airターミナルの性能を十分に引き出すことは可能です。Webサイトの閲覧、動画視聴、一般的なオンラインゲームといった用途であれば、多くの場合、付属のケーブルで問題を感じることはないでしょう。
付属ケーブルの「限界」を知っておこう
ただし、付属ケーブルには限界もあります。
・長さが足りない:Airターミナルと接続したい機器が離れている場合、1.5m〜2mでは届きません。
・ノイズ耐性が最新規格より劣る:カテゴリ5eは、後継規格であるカテゴリ6や6Aに比べると、外部からのノイズ(電磁波など)に対する耐性がやや劣ります。家電製品が多い環境などでは、わずかながら速度低下や不安定さの原因となる可能性もゼロではありません。
・配線の自由度が低い:丸型のケーブルは、カーペットの下を通したり、壁に沿ってきれいに配線したりするには、フラット型に比べて扱いにくい場合があります。
第2章:【ステップアップ】より快適さを求めるためのLANケーブル選び
付属ケーブルで性能的には十分とはいえ、より快適な環境を追求したり、特定の配線ニーズに応えたりするためには、市販のLANケーブルへの買い替え・買い増しが有効です。ここでは、失敗しないための選び方のポイントを解説します。
ポイント1:カテゴリ ― SoftBank Airには「CAT6」または「CAT6A」が最適解
以前の記事No.21でも解説しましたが、SoftBank Airの1Gbpsの性能を確実に引き出し、かつ将来性も考慮するなら、以下のカテゴリが推奨されます。
・カテゴリ6 (CAT6):最大1Gbps対応。カテゴリ5eよりもノイズ耐性が高く、より安定した通信が期待できます。価格も手頃で、コストパフォーマンスに優れます。
・カテゴリ6A (CAT6A):最大10Gbps対応。SoftBank Airにとってはオーバースペックですが、将来的に光回線(10Gbpsプラン)への乗り換えを見据えるなら、この規格を選んでおけばケーブルを買い換える必要がなく、長く使えます。ノイズ耐性も非常に高いです。
結論:迷ったら「カテゴリ6」を基本に、将来性を買うなら「カテゴリ6A」を選びましょう。カテゴリ7以上は、SoftBank Air環境では性能を持て余すため、あまり意味がありません。
ポイント2:形状 ― 「スタンダード(丸型)」 vs 「フラット」
ケーブルの形状は、配線のしやすさと性能に影響します。
・スタンダード(丸型):
メリット:内部の線がしっかりと保護されており、ノイズ耐性や耐久性に優れる傾向があります。価格も比較的安価です。
デメリット:太くて曲げにくいため、狭い場所での配線や、カーペットの下を通すのには向きません。
・フラット(平型、きしめん型):
メリット:薄くて柔らかいため、カーペットの下やドアの隙間を通しやすく、壁に沿わせて目立たなく配線するのに非常に便利です。
デメリット:スタンダード型に比べると、外部ノイズの影響を受けやすく、踏みつけなどによる断線リスクもやや高まります。(ただし、高品質な製品であれば、家庭内での利用で性能差を体感することは稀です)
結論:配線のしやすさを優先するなら「フラット」、性能と耐久性を最優先するなら「スタンダード」を選びましょう。
ポイント3:長さ ― 測ってから買うのが鉄則
ケーブルの長さは、「大は小を兼ねる」と考えがちですが、長すぎると余ったケーブルが絡まって見栄えが悪くなるだけでなく、わずかながら信号の減衰や遅延の原因にもなります。メジャーなどを使って、Airターミナルと接続機器の間の**実際の配線経路に沿って距離を測り、それに少し余裕(+0.5m〜1m程度)を持たせた長さ**を選ぶのがベストです。市販品には0.5m、1m、2m、3m、5m、10mなど、様々な長さがあります。
ポイント4:付加機能 ― 「ツメ折れ防止」はあると便利
LANケーブルのコネクタ部分には、カチッと固定するための「ツメ(ラッチ)」が付いています。このツメは、ケーブルを抜き差しする際に折れてしまいやすく、一度折れるとしっかりと固定できなくなり、接続不良の原因となります。多くの市販ケーブルには、このツメを保護するカバーが付いた「ツメ折れ防止」タイプがあります。頻繁に抜き差しする可能性がある場合は、この機能が付いている製品を選ぶと安心です。
第3章:【シーン別】SoftBank Airに最適なLANケーブル推奨例
シーン1:Airターミナルのすぐ隣に置いたデスクトップPCを接続する
推奨:スタンダード(丸型) / カテゴリ6 / 長さ0.5m〜1m
理由:距離が短いため、ノイズ耐性や配線のしやすさはあまり気にしなくてOK。付属ケーブルでも十分ですが、より安定性を求めるならカテゴリ6が安心。
シーン2:リビングのAirターミナルから、隣の部屋のゲーム機(PS5など)に接続する
推奨:フラット型 / カテゴリ6A / 適切な長さ(例:5m〜10m)
理由:ドアの隙間や壁際を通す必要があるため、フラット型が最適。オンラインゲーム用途なので、ノイズ耐性が高く将来性もあるカテゴリ6Aを選ぶと万全。
シーン3:Airターミナルにスイッチングハブを接続し、複数の機器を繋ぐ
推奨:
・Airターミナル ⇔ スイッチングハブ間:スタンダード型 / カテゴリ6A / 短い長さ(例:0.5m)
・スイッチングハブ ⇔ 各機器間:機器の場所や用途に応じて、スタンダード/フラット、カテゴリ6/6A、適切な長さを選択。
理由:ネットワークの根幹となるハブ接続部分は、最も信頼性の高いケーブル(スタンダードCAT6A)で固めるのが理想。その先の各機器へは、それぞれの状況に合わせて最適なケーブルを選ぶ。
まとめ:適切なLANケーブル選びが、SoftBank Airの性能を引き出す最後の鍵
SoftBank Airの有線LAN接続は、Wi-Fiという見えない壁を越え、安定した高速通信を手に入れるための最も確実な方法です。そして、その性能を最大限に引き出すためには、Airターミナルとあなたのデバイスを繋ぐ「LANケーブル」という物理的な道筋にも、適切な注意を払う必要があります。
付属のケーブルは決して悪いものではありませんが、あなたの利用環境や求める快適さによっては、市販のより高性能な、あるいは特定の形状を持ったケーブルを選ぶことが、最後のボトルネックを解消する鍵となります。この記事を参考に、あなたのSoftBank Airに最適な一本を見つけ出し、最高の有線LAN体験を手に入れてください。