ソフトバンクのオンライン専用ブランドとして、シンプルで格安な料金プランが人気の「LINEMO」。そして、工事不要で手軽にWi-Fi環境を構築できる「SoftBank Air」。同じソフトバンクグループのサービスだから、「この2つをセットで使えば、何かお得な割引があるのでは?」と期待している方も多いのではないでしょうか。特に、SoftBank Airには「おうち割 光セット」という強力なスマホセット割引が存在するため、LINEMOもその対象になるのでは、と考えるのは自然なことです。
しかし、残念ながら結論から申し上げると、LINEMOはSoftBank Airの「おうち割 光セット」の割引対象外です。この事実を知らずに期待してしまうと、後で「思ったより安くならなかった」とがっかりすることになりかねません。
この記事では、なぜLINEMOがセット割引の対象外なのか、その明確な理由を解説します。さらに、「割引がないなら、SoftBank AirとLINEMOの組み合わせは損なのか?」という最も重要な疑問に答えるため、ソフトバンクやワイモバイルとの組み合わせと比較した場合の、リアルな総コストを徹底的にシミュレーション。その上で、セット割引がなくても、なお「SoftBank Air + LINEMO」があなたにとってベストな選択肢となり得るのか、その可能性を探っていきます。
第1章:「おうち割 光セット」とは? LINEMOが対象外である明確な理由
「おうち割 光セット」の基本ルール
まず、「おうち割 光セット」がどのような割引なのか、その対象者を再確認しましょう。これは、ソフトバンク指定の固定通信サービス(SoftBank 光 または SoftBank Air)と、対象のモバイル通信サービスをセットで利用することで、モバイル側の月額料金が永年割引されるサービスです。
【割引対象となるモバイル通信サービス】
・ソフトバンク:スマホの主要プラン(メリハリ無制限+など)
・ワイモバイル:スマホの主要プラン(シンプル2 S/M/L)※別途指定オプション(月額550円~)への加入が必要な場合あり。
【割引額】
・ソフトバンク:1台あたり 永年1,100円/月 割引
・ワイモバイル:プランにより 永年1,100円/月 または 1,650円/月 割引
この割引は、契約者本人だけでなく、同居の家族や離れて暮らす家族、さらには同棲中のパートナーなど、最大10回線まで適用できる非常に強力なものです。
なぜLINEMOは対象外なのか? ブランド戦略上の理由
LINEMOは、ソフトバンクやワイモバイルとは異なり、「オンライン申込専用」「店舗サポートなし」という形態をとることで、人件費や店舗運営コストを徹底的に削減し、その分を基本料金の安さに還元しているブランドです。月額990円(ミニプラン/3GB)から利用できるという、圧倒的な低価格が最大の武器です。
ソフトバンクグループとしては、手厚いサポートや大容量プランを求めるユーザーには「ソフトバンク」、対面サポートと中容量プランを求めるユーザーには「ワイモバイル」、そして価格を最重視しオンラインで完結できるユーザーには「LINEMO」という形で、ターゲット層を明確に分けています。「おうち割 光セット」は、主にソフトバンクやワイモバイルといった、より単価の高いブランドのユーザーを、固定回線にも囲い込むための戦略的な割引なのです。
既に基本料金が極限まで抑えられているLINEMOに対して、さらに「おうち割」を適用してしまうと、採算が合わなくなる、あるいはブランド間の棲み分けが崩れてしまう、というのがLINEMOが対象外である大きな理由と考えられます。
第2章:【コスト比較】「Air + LINEMO」vs「Air + ソフトバンク/ワイモバイル(割引あり)」
セット割引がないことは分かりましたが、それでもLINEMOの基本料金の安さを考慮すると、「SoftBank Air + LINEMO」の組み合わせは、他の組み合わせと比較して本当に損なのでしょうか? 具体的な月額総コストをシミュレーションしてみましょう。(※SoftBank Airは「めちゃトク割」適用時の料金、スマホプランは代表的なものを想定)
ケース1:単身者の場合
| 組み合わせ | SoftBank Air月額 (目安) | スマホ月額 (目安) | おうち割 | 合計月額 (目安) |
|---|---|---|---|---|
| Air + LINEMOミニ (3GB) | 3,278円 | 990円 | なし | 4,268円 |
| Air + LINEMOスマホ (20GB) | 3,278円 | 2,728円 | なし | 6,006円 |
| Air + ワイモバイル S (4GB) | 3,278円 | 2,365円 | -1,100円 | 4,543円 |
| Air + ワイモバイル M (20GB) | 3,278円 | 4,015円 | -1,650円 | 5,643円 |
| Air + ソフトバンク メリハリ無制限+ | 3,278円 | 7,425円 | -1,100円 | 9,603円 |
【単身者の分析】
・データ使用量が少ない(月3GB程度)なら、**「Air + LINEMOミニ」が圧倒的に最安**です。
・データ使用量が中程度(月20GB程度)の場合、「Air + ワイモバイルM」のおうち割適用後と「Air + LINEMOスマホ」の価格差はわずかです。
ケース2:家族3人(全員スマホ利用)の場合
| 組み合わせ | SoftBank Air月額 (目安) | スマホ月額 (目安) ×3人 | おうち割 ×3人 | 合計月額 (目安) |
|---|---|---|---|---|
| Air + LINEMOスマホ (20GB) ×3 | 3,278円 | 2,728円 ×3 = 8,184円 | なし | 11,462円 |
| Air + ワイモバイル M (20GB) ×3 | 3,278円 | 4,015円 ×3 = 12,045円 | -1,650円 ×3 = -4,950円 | 10,373円 |
| Air + ソフトバンク メリハリ無制限+ ×3 | 3,278円 | 7,425円 ×3 = 22,275円 | -1,100円 ×3 = -3,300円 | 22,253円 |
【家族の分析】
・家族の人数が増えると、「おうち割 光セット」の割引効果が絶大になります。特に**ワイモバイルとの組み合わせは、LINEMOと比較しても総コストで有利**になる可能性が高いです。
・ソフトバンクとの組み合わせは、データ無制限というメリットはありますが、やはり基本料金が高いため、総コストは最も高くなります。
第3章:【結論】それでも「SoftBank Air + LINEMO」がベストな人とは?
シミュレーションの結果、「おうち割」が適用されるワイモバイルの方が総コストで有利になるケースが多いことが分かりました。では、「SoftBank Air + LINEMO」の組み合わせを選ぶ価値は全くないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。以下のような方にとっては、依然として魅力的な選択肢となり得ます。
ケース1:スマホのデータ使用量が極端に少ない単身者
シミュレーションの通り、LINEMOの「ミニプラン(3GB/月990円)」の安さは圧倒的です。自宅ではSoftBank AirのWi-Fiを使い、外出先ではほとんどデータ通信を使わない、というライフスタイルの方であれば、「Air + LINEMOミニ」が紛れもなく最安の組み合わせとなります。
ケース2:ワイモバイルの「おうち割」適用条件(有料オプション加入)を避けたい人
ワイモバイルの「おうち割 光セット(A)」を適用するには、「指定オプション(月額550円~)」への加入が必要になる場合があります。これを加味すると、LINEMOスマホプランとの価格差はさらに縮まります。「割引のために不要なオプションに入るのは抵抗がある」と感じる方にとっては、シンプルなLINEMOの方が精神的に快適かもしれません。
ケース3:オンラインでの手続きやサポートに慣れている人
LINEMOは店舗サポートがなく、全ての手続きをオンラインで完結させる必要があります。これを「シンプルで楽」と感じるか、「いざという時に不安」と感じるかは、人それぞれです。オンラインでの自己解決に慣れている方にとっては、LINEMOの手軽さは大きなメリットとなります。
まとめ:セット割はなくても、組み合わせる価値はある
SoftBank AirとLINEMOの間に、直接的なセット割引「おうち割 光セット」は存在しません。これは、LINEMOが低価格を実現するためのブランド戦略上の理由からです。
しかし、だからといって「SoftBank Air + LINEMO」の組み合わせが必ずしも損とは限りません。特に、スマホのデータ使用量が少ない方にとっては、LINEMOの圧倒的な基本料金の安さが、セット割引がないというデメリットを上回る可能性があります。
重要なのは、SoftBank Airの料金、スマートフォンの料金、そして適用される割引を全て含めた「家計全体の通信費」で比較検討することです。この記事のシミュレーションを参考に、ご自身の利用状況に最も合った、賢い組み合わせを見つけてください。