SoftBank Airの公式サイトを見ると、「月額〇〇円〜!」といった魅力的な価格が表示されています。しかし、その金額だけを見て契約を決めるのは非常に危険です。実際の支払額は、初期費用、端末代金の分割払い、そして複雑に絡み合う割引キャンペーンによって、月ごとに、そして年ごとに変動していくからです。

「結局、2年間使ったらいくらになるの?」「割引が終わった後の本当の料金は?」「自分の場合は総額でいくら払うことになるんだろう?」――こうした、誰もが抱くであろう金銭的な疑問に、この記事は明確な答えを提示します。

この記事は、単なる料金プランの解説書ではありません。SoftBank Airを契約した場合の、1年後から4年後までの「総支払額」と「実質的な月額料金」を、あらゆるパターンでシミュレーションする、あなたのための財務分析ガイドです。この記事を最後まで読めば、あなたはSoftBank Airにかかる費用を完全に理解し、納得ずくで契約判断を下せるようになります。

第1章:SoftBank Airの請求書の解剖学 ― 全費用項目を徹底分解

総支払額を計算する前に、まず毎月の請求書がどのような項目で構成されているのかを正確に理解しましょう。

1. 初期費用:契約事務手数料

契約初月の請求に一度だけ加算される費用です。金額は3,300円(税込)で、これは避けることのできない必須の費用となります。

2. 月額基本料金

サービスの基本となる料金で、現在の「Air 4G/5G共通プラン」では5,368円(税込)です。全ての割引計算の基準となる金額です。

3. Airターミナル端末代金(賦払金)

最新端末(Airターミナル5や6)の本体価格(71,280円)を、36回または48回の分割で支払う金額です。36回払いの場合、月々1,980円が請求に加算されます。

4. 割引①:月月割

上記の端末代分割払い(賦払金)と全く同額が、毎月の請求から割り引かれます。36回払いなら、-1,980円が36ヶ月間適用されます。これにより、端末代は「実質0円」となります。

5. 割引②:月額料金割引キャンペーン(めちゃトク割など)

新規契約者を対象に、月額基本料金から一定額が割り引かれるキャンペーンです。例えば、「24ヶ月間、2,090円割引」といった内容で提供されます。

6. オプションサービス料金

「Yahoo! BB基本サービス(プレミアム)」や、機器補償の「あんしん補償」などに加入している場合、その月額料金が加算されます。不要な場合は、My SoftBankから解約が可能です。

第2章:【本題】SoftBank Airの総支払額シミュレーション(1年〜4年)

それでは、これらの費用項目を基に、実際の総支払額がどのように推移していくのかをシミュレーションします。ここでは、最も一般的な「36回払い」で、オプション加入なしのケースを想定します。

【前提条件】
・月額基本料金:5,368円
・端末代金:71,280円(1,980円×36回)
・月月割:-1,980円×36回
・めちゃトク割:-2,090円×24回
・初期費用:3,300円

1ヶ月目〜24ヶ月目(割引が最大になる期間)

計算式:5,368円(基本料) – 2,090円(めちゃトク割) – 1,980円(月月割) + 1,980円(端末代) = 月々3,278円

この期間は、めちゃトク割が適用されるため、支払額が最も安くなります。

25ヶ月目〜36ヶ月目(価格が一度上がる期間)

計算式:5,368円(基本料) – 1,980円(月月割) + 1,980円(端末代) = 月々5,368円

25ヶ月目に「めちゃトク割」が終了するため、月額料金が基本料金と同額に戻ります。多くの人が「急に高くなった」と感じるのがこのタイミングです。

37ヶ月目以降(最終的な価格)

計算式月々5,368円(基本料のみ)

37ヶ月目には、端末代の分割払いと月月割が同時に終了します。結果的に、支払額は基本料金のみとなり、25ヶ月目以降と変わらないように見えます。

【結論】年単位での総支払額と実質月額料金

利用期間 期間中の総支払額(初期費用込) 実質的な月額料金
1年間 (12ヶ月) 3,300円 + (3,278円 × 12ヶ月) = 42,636円 約3,553円
2年間 (24ヶ月) 3,300円 + (3,278円 × 24ヶ月) = 81,972円 約3,416円
3年間 (36ヶ月) 81,972円 + (5,368円 × 12ヶ月) = 146,388円 約4,066円
4年間 (48ヶ月) 146,388円 + (5,368円 × 12ヶ月) = 210,804円 約4,392円

この表から分かる通り、SoftBank Airの「本当のコスト」は、利用期間によって大きく変動します。特に、割引が終了する3年目以降は、実質的な月額料金が4,000円を超えることを明確に理解しておく必要があります。

第3章:【状況別】あなたの本当の支払額シミュレーション

上記の基本シミュレーションに、さらに他のキャンペーン要素を加えると、総支払額はさらに変わります。

ケース1:Web代理店で「40,000円キャッシュバック」を受けた場合

信頼できるWeb代理店経由で申し込み、40,000円のキャッシュバックを受けたとします。このキャッシュバックは、総支払額から直接差し引いて考えることができます。
・2年間の総支払額:81,972円 – 40,000円 = 41,972円
・2年間の実質月額料金:41,972円 ÷ 24ヶ月 = 約1,749円

見ての通り、高額なキャッシュバックは、実質的な月額料金を劇的に引き下げる効果があります。

ケース2:「おうち割 光セット」で家族4人が割引を受けた場合

これはSoftBank Airの請求額自体は変わりませんが、家計全体の通信費という視点で見ると、大きな差が生まれます。
割引額:1,100円 × 4人 = 月々4,400円の割引
2年間の割引総額:4,400円 × 24ヶ月 = 105,600円

先のシミュレーションと合わせると、SoftBank Airに2年間で約8.2万円を支払う一方で、スマホ代が約10.5万円も安くなるため、家計全体では差し引きでプラスになる、という考え方もできます。

まとめ:総支払額の理解が、後悔しないための第一歩

SoftBank Airの料金は、一見すると複雑に見えます。しかし、この記事で解説したように、費用項目を分解し、割引が適用される期間を正確に把握すれば、ご自身の総支払額を明確に予測することが可能です。

特に重要なのは、①「めちゃトク割」が24ヶ月で終了し、月額料金が一度上がること、②36ヶ月以内に解約すると端末代の残債が発生すること、そして③Web代理店のキャッシュバックが総支払額を大きく引き下げること、の3点です。このポイントをしっかりと理解し、ご自身の利用計画と照らし合わせることで、あなたはSoftBank Airの料金について、もう迷うことはありません。