「工事不要で、コンセントに挿すだけ」という手軽さで人気のホームルーター市場。その中でも、長年の実績を持つ「SoftBank Air」と、携帯キャリアとしての勢いを背景に登場した「Rakuten Turbo」。この2つのサービスは、一見すると非常によく似ており、どちらを選ぶべきか決めかねている方も多いのではないでしょうか。
月額料金、通信速度、利用可能なエリア、そしてご自身のスマートフォンとの相性…。選択を誤ると、後から「あちらにしておけば良かった」と後悔しかねない重要な要素が、この2つのサービスの間には数多く存在します。
この記事では、SoftBank AirとRakuten Turboという、工事不要ホームルーターの二大巨頭を、あらゆる角度から徹底的に比較・分析します。それぞれのサービスの強みと弱みを完全に理解し、最終的にあなたのライフスタイルにとって、どちらが真に「最適な選択」となるのかを、明確に導き出すための決定版ガイドです。
第1章:【料金対決】本当に安いのはどっち?総支払額で見る損得勘定
料金は、最も重要な比較ポイントの一つです。しかし、単純な月額料金だけを見て判断してはいけません。端末代金や割引キャンペーンを含めた「総支払額」で比較することが重要です。
月額料金と端末代金の構造
・SoftBank Air:月額基本料金は5,368円。約7万円の端末を36回払いで購入し、同額が「月月割」で割り引かれるため、3年間使えば端末代は実質0円になります。加えて、「めちゃトク割」などで最初の2年間は月額料金が大幅に割引かれます。
・Rakuten Turbo:月額料金は4,840円。SoftBank Airと同様に、端末を購入し、その代金相当額が月々の割引で相殺される仕組みです。最大の特徴は、最初の1年間の月額料金が非常に安くなるキャンペーンを頻繁に実施している点です。
3年間の総支払額シミュレーション
各種キャンペーンを考慮した場合の、3年間の総支払額の目安は以下のようになります。(※キャンペーン内容は時期により変動します)
| サービス | 1年目の総額(目安) | 3年間の総額(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SoftBank Air | 約43,000円 | 約147,000円 | Web代理店経由なら、ここからさらに数万円のキャッシュバックが期待できる。 |
| Rakuten Turbo | 約24,000円 | 約130,000円 | 最初の1年間の安さは圧倒的。ただし、2年目以降は割引が少なくなる。 |
【料金対決の勝者】短期的な安さでは**Rakuten Turbo**、Web代理店のキャッシュバックまで考慮した実質的な総額では**SoftBank Air**に軍配が上がることが多いです。
第2章:【速度対決】実測値で見るリアルな通信パフォーマンス
理論値上のスペックは両社ともギガビット級ですが、重要なのは実際に利用した際の「実測値」です。
平均実測速度の比較
様々なユーザーの速度報告を集計しているサイト「みんなのネット回線速度」のデータを参考にすると、両者の平均実測値は非常に拮抗しています。
・平均下り速度:両社ともに、5Gエリア内であれば**100Mbps〜250Mbps**程度。コンディションが良ければそれ以上も期待できます。
・平均上り速度:両社ともに**10Mbps〜30Mbps**程度。大容量ファイルのアップロードにはあまり向きません。
・平均Ping値:両社ともに**40ms〜60ms**程度。光回線には劣りますが、カジュアルなオンラインゲームならプレイ可能です。
【速度対決の勝者】ほぼ**引き分け**。実測値の平均は両社で大きな差はなく、どちらも5Gエリア内であれば光回線に迫る快適な速度が期待できます。勝敗を分けるのは、むしろ次の「エリア」です。
第3章:【エリア対決】あなたの家で使えるのはどっち?
ホームルーター選びにおいて、最も重要なのが「対応エリア」です。ここには、両社の間で決定的な違いが存在します。
SoftBank Airのエリア戦略:自社網+AXGP網
SoftBank Airは、スマートフォンの4G/5Gネットワークに加えて、データ通信に特化した「AXGP」という独自のネットワークも利用しています。これにより、非常に広範なエリアをカバーしており、特に4Gエリアは人口カバー率99%以上を誇ります。「5Gはエリア外だけど、4Gなら使える」という地域が非常に多いのが強みです。
Rakuten Turboのエリア戦略:楽天回線エリアのみ
ここが最大の注意点です。楽天モバイルのスマートフォンは、自社の楽天回線エリア外では、auの回線を借りた「パートナー回線」に繋がります。しかし、**Rakuten Turboは、このパートナー回線には一切対応していません。**つまり、楽天モバイルのスマホが使える場所でも、そこがパートナー回線エリアであれば、Rakuten Turboは利用できないのです。
【エリア対決の勝者】カバーエリアの広さと、4Gでも利用できる汎用性の高さで、圧倒的に**SoftBank Air**の勝利です。Rakuten Turboは、ご自身の家が楽天回線の5Gまたは4Gエリアにピンポイントで含まれていることを、公式サイトで厳密に確認することが絶対条件となります。
第4章:【セット割対決】あなたのスマホキャリアで選ぶ
ホームルーターの価値は、スマートフォンとのセット割引で大きく変わります。
・SoftBank Air:ソフトバンク・ワイモバイルユーザーが対象の「おうち割 光セット」が適用可能。割引額が1台あたり最大1,100円(ワイモバイルは最大1,650円)と大きく、家族全員が対象になるため、トータルの割引額が非常に高額になります。
・Rakuten Turbo:楽天モバイルユーザーが対象のセット割があります。割引額は月額料金から割り引かれる形となり、楽天モバイルの「最強プラン」とセットで利用することで、大きなメリットが生まれます。
【セット割対決の勝者】**引き分け**。あなたが利用しているスマホキャリアによって、どちらがお得になるかが完全に決まります。ご自身のスマホとの相性が、サービス選択の最大の決め手となります。
第5章:【キャンペーン対決】現金か、ポイントか
・SoftBank Air:Web代理店経由で申し込むことで、数万円単位の**高額な現金キャッシュバック**が受けられるのが最大の強みです。
・Rakuten Turbo:楽天市場で利用できる**楽天ポイントでの高額還元**や、初年度の月額料金を大幅に割り引くキャンペーンが特徴です。
【キャンペーン対決の勝者】現金での直接的な還元を重視するなら**SoftBank Air**、楽天経済圏を頻繁に利用し、ポイントの価値を高く評価するなら**Rakuten Turbo**。これもユーザーのライフスタイルによって評価が分かれます。
第6章:【最終結論】あなたにおすすめなのはどっち?
SoftBank Airをお勧めする人
✅ ソフトバンク、またはワイモバイルのスマートフォンを利用している
✅ 地方や郊外に住んでおり、楽天回線エリアに不安がある
✅ 現金での高額キャッシュバックを重視する
✅ 長年の運用実績による安心感を求める
Rakuten Turboをお勧めする人
✅ 楽天モバイルの「最強プラン」を利用している
✅ 自宅が楽天回線の5Gエリアに完璧に含まれていることを確認済みである
✅ 楽天市場を頻繁に利用し、楽天ポイントの価値を高く評価している
✅ とにかく最初の1年間のコストを極限まで抑えたい
SoftBank AirとRakuten Turboは、似て非なるサービスです。その選択は、あなたのスマートフォンの契約状況、そして何より「ご自宅のエリア状況」という、動かせない事実によってほぼ決定されます。この記事の比較を参考に、ご自身の状況を客観的に分析し、後悔のない選択をしてください。